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男性の育児休業取得を促進するため、「産後パパ育休(出生時育児休業)制度(以下、産後パパ育休と称する)」 が2022年10月に、従来の育児休業制度に加えて導入されました。産後パパ育休は子の出生直後の時期を対象とし、育児と仕事を両立できることから、取得しやすく、より柔軟な働き方を選択できるようになりました。改正前と改正後の育児のための休業制度概要を文末表2に示します。
このたび第二子(長女)が誕生したことで、初めて当社で産後パパ育休を取得された曽我部さんとその上司の林田さんにお話しを伺いました。
産後パパ育休取得
曽我部 将三さん
設計ソリューション部
熱流動解析課
曽我部:第二子の誕生をひかえ、「出産後の家事は全部お願い!」と妻から頼まれていたことから、産後パパ育休をとることを上司、同僚に早くから伝えていました。夫婦ともに実家が遠く、長期にわたり両親の協力を得ることが難しかったことや、出産時の事情で妻の安静が必要だったこともあり、今回4週間の産後パパ育休を取りました(図1)。
曽我部:育児に関することは長男の出産で経験したため、授乳以外は何でも自信がありますが、今回の休業のミッションは家事であり、妻の負担をなくすことが目的でした。
日ごろから掃除、洗濯、保育園の送迎をしていますが、料理やキッチンの掃除はほとんど妻任せでした。冷蔵庫のストックをみて、どんなメニューができるか考え、食事の用意をしました。長男の好き嫌いを考慮して、メニューを別々にするなど、少し気をつかいました。食事の用意をしてくれる妻の苦労を実感しました。妻は家事に気をとられず、長女の世話に安心して専念できたと思います。
産後パパ育休の期間は、およそ表1のスケジュールで過ごしました。
朝 | 朝食の用意 |
---|---|
朝食 | |
長男(4歳)を保育園へ見送り | |
掃除、洗濯 | |
長女沐浴 | |
買い物:食料・日用品 | |
昼ごはんの用意 | |
昼 | 昼食 |
ひと息・・・ | |
夕食の用意 | |
夕 | 夕食 |
長女の寝かしつけ | |
夜 | 自分の時間 |
曽我部:週1回の頻度で出社し、解析業務や依頼先との調整を行いました。週1回出社したため、職場から離れている感覚はありませんでした。休業に入った当初は、メールや業務の進捗が気になりましたが、やるべきことと、先送りしてもいいこと、人に任せることの判断がついてからは気が楽になりました。
曽我部:半年前にも3か月の育児休業をとった同僚が居ました。自分自身も病気で長く休んだことがあり、職場はそれぞれ個人の立場や想いを尊重してくれます。日ごろからメンバー同士、コミュニケーションをよくとっているからだと思います。
曽我部:普段はしない家事の大変さを共感できたこと、妻の負担を軽減できたことが大きなメリットでした。
産後パパ育休をとる場合はパートナーとよく話し合うことが重要だと思います。仕事を休んで何をするかおおよそ決めておかなければ、どのような目的で休業しているかわからなくなります。家のこと、子育てのことに真剣に向き合うことが大切ですね。就業の予定も上司や職場のメンバーとよく話し合い、時間を有効に使えるといいと思います。
デメリットは特に感じません。短い期間でもいいので男性社員も育児や家事に専念するために休むといいと思います。ワンオペで育児と家事をするのは大変なので、そういう場合は、ぜひ休んでください。
曽我部さんの上司に、産後パパ育休の取得について、想いをうかがいました。
曽我部さんの上司
設計ソリューション部
熱流動解析課
課長 林田 潤さん
林田:曽我部さんはかなり前から育児のために休業することを周囲に告げていましたし、面談制度※1の面談シートに産後パパ育休と育児休業希望との記入があったため、私を含め課内のメンバーも特別な感覚もなく受け止めました。
課内では、おととし2021年に2名の出産があり、1名の男性社員が3か月の育児休業をとりました。昨年2022年は曽我部さん1名、今年2023年はすでに2名の出産がありました。課長の立場として、出産の知らせがあるとうれしい気持ちになるとともに、「休まなくていいの」と心配になり、育児のために一時的に休業をとっても問題ないことをメンバーに伝えています。
産後パパ育休は仕事をする日を設定できるため、課のメンバーへ過大な負荷をかけることがありません。取得者も仕事から長期に、完全に離れるわけではないため、復帰の際の疎外感もなく、メリットは大きいと思います。
※1面談制度:仕事のたな卸し、キャリア目標、業務の希望や働き方などについて上司と面談をし、情報共有をする制度。
林田:曽我部さんは流体解析の分野で技術力が高く、顧客との交渉力もあり、第一線で活躍しています。課にいなくてはとても困る人材ですが、産後パパ育休でも週1回の出社があったため、職場に不在といった感覚がありませんでした。
2022年10月改正 | 改正前 | ||
---|---|---|---|
産後パパ育休
(出生時育児休業) |
育児休業制度 | 育児休業制度 | |
対象期間 | 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 | 原則、子が1歳まで
(最長2歳まで) |
原則、子が1歳まで
(最長2歳まで) |
申出期限 | 原則、休業の2週間前まで | 原則、1か月前まで | 原則、1か月前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能
(初めにまとめて申し出ることが必要) |
分割して2回取得可能
(取得の際に都度申し出る) |
原則、分割不可 |
休業中の就業※ | 労使協定を締結している場合、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能 | 原則、就業不可 | 原則、就業不可 |
人事総務部 人事総務課
鳥生 明美 |