オーダーメイド試験は、お客様の目的に適した方法や装置を提案し、その結果を提供する実験/試験サービスです。
製品開発・改良、品質保証、不具合対策などで、規格や既存装置がない実験あるいは試験を必要とする際に、その目的を詳しく伺い、お客様に最適な解決方法を提案します。また、試験計画や試験方法の立案、試験装置の設計など、あらゆる面でお役に立つことができます。
試験装置/検査装置だけをご希望の場合は、オーダーメイドの試験装置の納入とそのサポート対応も可能です。
研究開発用の実験や製品の性能測定、モックアップ試験装置など、3,000件以上の実績(2021年8月時点:表1参照)がある当社が、お客様の「どうしよう」の解決をお手伝いします。
環境・エネルギー |
燃焼排ガス処理試験 廃水用凝集剤の比較試験 有害物質の固定化試験 廃棄物の有効利用試験(灰の固型化,RPFなど) バイオマス試験(BDF,メタン発酵など) 有価物質の回収試験 発電機の性能確認試験 燃料電池の熱回収試験 など |
化学・素材 |
機能性材料の試作,性能試験 電気分解試験 分離膜の性能試験 高比重/低比重流体の調査と試作 化学分析方法の検討 耐食性,防食性の確認試験 など |
熱・流動 |
熱伝導度測定 ふく射率測定 空間内の温度,流速分布測定 流体解析のチューニングデータ取得 流動状態の可視化試験 など |
その他 |
物性値測定 安全性確認試験(爆発性確認試験) 耐圧,漏れ検査 検査方法の検討と検査装置試作 納入検査代行 機器トラブルの原因調査,再現試験 プラント運転 要素部品のモックアップ試験 など |
ここでは、以下の【1】、【2】について、それぞれ実施例をご紹介します。
【1】 オーダーメイド試験の実施例 3件
【2】 オーダーメイド試験機の納入例 2件
例1−1:腐食性ガス対象のガスバリア性確認試験
フィルムなどのガスバリア性は、その透過係数を測定することで知ることができます。当社はJIS K7126-1「プラスチック/フィルム及びシート/ガス透過度試験方法−第1部:差圧法」(2006)に準拠したガス透過試験装置(写真1)を保有し、ガスバリア性試験に対応しています。しかし、本装置は空気,N2,O2,CO2など不活性なガスを対象としており、腐食性ガスには対応していません。
腐食性ガスのガスバリア性を知りたいお客様からの相談で、当社はJIS K7126を参考に腐食性ガス対応型の試験装置を製作し、試験を実施しました。この装置を用いることで、HCl,Cl2,H2S,NH3ガスなどのガスバリア性の評価が可能になりました。
本例では、試験装置そのものが耐食性を有することはもちろんですが、長時間となるガス透過試験では、透過した腐食性ガスを速やかに固定化し、定量分析するまで化学変化させないことが重要でした。
そこで、オリジナルの保持方法を検討し、本例へ適用することで腐食性ガスを損失せずに測定することを可能としました。
例1−2:環境浄化用触媒の性能試験
不均一触媒の評価は、空間速度(SV)や面積速度(AV)などを実際の使用条件に合わせた試験が必要です。既存の試験装置では、流量条件や触媒サイズに制約があるため、ご依頼内容に十分に対応できないことがあります。当社では、依頼毎に流通条件、触媒サイズ、温度、圧力を変え、オーダーメイド試験として対応しています。
写真2に示す試験装置は、各種の触媒サイズに対応できると共に、実装置の運転条件を模擬できる独自の試験装置です。不均一触媒を高温で試験する場合、管状炉を用いることがありますが、触媒の温度分布に問題が残ります。本装置ではオリジナルの加熱方式を採用することで、触媒温度を均一な条件で試験を実施することができます。
本装置で触媒を評価した結果、大型の実装置を模擬できるような結果が得られることが分かり、反応速度などの実装置の設計データ取得や、反応過程の中間物質の生成状態を明らかにし、設備運転の最適化に寄与しました。
例1−3:バルブの耐久、漏れ試験
バルブは、使用する温度、圧力、流体がそれぞれに異なるため、対象条件に合わせて耐久性を確認する必要があります。当社は、これらの条件に応じて耐久性試験、リーク試験などに対応しています。また、各種の認証に必要な試験にも対応しています。
写真3は、高温雰囲気で使用するバルブの耐久性とリーク試験を実施したものです。一般的に大口径のバルブを高温雰囲気とするためには、その周辺設備も大きくなるため、装置のコストはもちろんのこと、試験実施のコストも増大します。本例では、装置コスト、試験コストを抑えるため、周辺設備が小型でも要求仕様を満足できるオリジナルの装置を提案しました。また、部品が共有化できる設計を行い、異なるサイズのバルブにも対応できるようにしました。
本例では、サイズが最大で3倍異なる口径のバルブに対する耐久、漏れ試験を、計画どおりの条件で実施することができました。
例2−1:新型空調の評価試験装置
新しい空調の効果を実証するための装置を設計、製作しました。
本例は、新たな空調方式の開発だったため、設計データがほとんどなく、これらのデータを取得することからスタートしました。実証装置を前提としたラボ試験を実施して設計データを取得し、そのデータと過去の実績から実証装置へスケールアップしています。
また、この試験装置は、新しい空調の開発を広くPRする目的で、建物入口に展示される予定だったため、写真4のように、タンク前面に内部が確認できる窓を設ける仕様とし、全体に統一感あるカラーリングとするなど、デザインにも配慮しました。
例2−2:吸着剤の評価試験装置
吸着剤は、水や空気の浄化、貴金属や溶剤などの回収・分離、脱臭など、各種の産業で利用されています。それらの利用には、等温吸着曲線や飽和吸着量などの測定はもちろん、実際の使用条件を模擬する性能確認が必要です。当社は、各種の用途向けに吸着剤を取り扱った経験から、容易に取り扱える吸着剤評価試験装置(写真5)を製作し、お客様へ納入しました。この試験装置では、加熱することで再利用できる再生型吸着剤の評価を行う計画だったため、加熱再生できる機能を有し、吸着と再生を自動で繰り返しながら、吸着剤の耐久性を確認できる構成になっています。
この試験装置は、各種の実験を行ってきたこれまでの経験から「安全と使いやすさ」と「コンパクトにつくる」ことを両立できた例でもあります。
今回はオーダーメイド試験の実施と装置製作をご紹介しました。試験実施あるいは装置製作のどちらか一方を行う会社は多数ありますが、当社は装置製作から試験実施までを一括で請け負うことができます。そのため、装置構成は必要最小限になり、また、装置製作者が試験を実施することで、装置の運転教育が省けますので、結果的にコストを削減できます。試験の計画に応じて、装置の設計変更にも対応しますので、お客様にとって依頼先を一本化できるメリットもあります。
試験を「どうしよう」と思ったら、お気軽に、川重テクノロジーへご相談ください。
ソリューション事業部 トータルソリューション推進部 第一課 松尾 昌彦 |