概要
オイルやグリスは多くの機械設備に用いられていますが、機械設備のトラブルの内、潤滑が原因となっているものは、25%にも上ります。潤滑トラブルを未然に防ぎ、ライフサイクルコスト(機械設備の生涯費用)を低減する為には、オイル・グリスの状態を把握し、必要な対策をとることが重要です。
当社では川崎重工グループの提供する多種多様な製品に用いられている各種オイル、グリスなどについて様々な内容の調査経験がございます。これらの経験を活かしてオイル、グリスに関する技術的課題に取り組んでおります。
<こんなご要望はありませんか>
<こんなご要望はありませんか>
- オイル、グリスの汚染、劣化具合を調査したい
- オイル中のスラッジ等の異物の発生源を調査したい
- オイル交換時期の決定のためのデータを取得したい
- 機械摺動部の損傷原因を調査したい
- 異種油の混入有無を調査したい
お気軽にご相談ください。
調査手法
■ 性状分析
使用オイルの状態を把握する手段として、動粘度、全酸価、水分などの各種性状分析が一般的に行われています。新品オイルや正常運転時の性状値と比較し、オイルの交換の必要有無を判断する材料の一つとして用いることができます。また、装置不具合が起こってしまった場合に、オイル劣化が不具合の原因であるか否かを判断する際などにも用いられます。
参考として、表1に各種性状の管理基準の一例を記載します。ただし表1の値はあくまで一例であり、装置の使用状況、オイルの種類等により基準値は異なりますので、過去の実績や機械装置・オイルメーカーと相談の上、決定する必要があります。
表1 オイル性状管理基準
項目 | 添加タービン油 | 鉱物系作動油 |
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動粘度 mm2/s | ±10%以内 | ±10%以内 |
全酸価 mgKOH/g | +0.5以内 | +1.0以内 |
水分 Vol% | 0.2以内 | 0.2以内 |
重量法汚染度 mg/100ml | 10以内 | 10以内 |
当社では表1の項目以外にも様々な性状分析を実施しています。
一般性状項目
■ 油中摩耗粉分析
機械が動いていれば、正常な状態であっても摺動部でわずかに摩耗が生じており、オイル中に摩耗粉が混入します。この摩耗によって生じた摩耗粉の量や形状によって正常摩耗であるか異常摩耗であるかを診断するフェログラフィ法や、元素の種類と量から診断するSOAP法があります。また、個別の摩耗粒子についてSEM-EDX(分析装置付走査型電子顕微鏡)による元素分析を実施することにより、摩耗粒子の詳細な材質を推定し、摩耗箇所を推定することも可能です。
フェログラフィ法についての詳細はこちらもご覧ください。
■ 機器分析
オイルの調査では上記の性状分析の他、赤外分光分析(FT-IR)やガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)を用いた調査も行われています。
機器分析ではオイル中の成分に着目した調査が可能です。また、性状分析では1項目で数十mL程度の試料が必要となりますが、機器分析では1mL程度、少なければ1滴程度でも分析可能な場合があり、微量試料の調査に威力を発揮します。
主な調査事例
オイル・グリスは多くの機械設備に使用されておりますので、調査事例も様々です。以下に一例をご紹介します。
調査項目 | 調査事例 |
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劣化調査/ 各種物性測定 |
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機械の故障 予知診断 |
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油分の定量 |
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油種調査/ 異種油混入調査 |
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元素分析 |
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