技術分野

受託研究・評価試験

技術レポート

大型防じん試験

1.防じん試験について

 防じん試験とは、実環境を模擬する、またはそれ以上の粉じん環境に試験対象を暴露させて、その防じん性能または耐じん性能を確認するための試験です。

 防じん試験は多種多様な試験体が対象となります。代表的なものとしては、電気機器の外郭(配電盤やキュービクル)、自動車用部品(バッテリーやモーター)、鉄道車両用部品(インバーターや制御ボックス)等があり、カテゴリーごとに国内外で、規格が定められております。

 防じん試験規格の代表例を以下に示します。

  • JIS C 0920:2003電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)
  • JIS D 0207:1977自動車部品の防じん及び耐じん試験通則
  • JIS E 4036:1998鉄道車両構成部品 – ダスト試験通則
  • JIS C 60068-2-68環境試験方法 –電気・電子- 砂じん(塵)試験

上記以外、例えば『お客様社内規格』や『比較検証試験』等、規格に定められていない条件についても柔軟に対応しております。

試験前
8時間試験後

関東ロームによる防じん試験前後の試験体観

2.防じん試験設備について

当社では、大型と小型の防じん試験設備を所有しております。
設備仕様を以下に示します。

大型試験設備 小型試験設備
試験室形状 直方体 円筒状
試験室サイズ[mm] W4300×D3000×H2900 Φ990×H900
試験方式 気流循環式・浮遊式 気流循環式・浮遊式・撹拌式・降じん式
大型防じん試験設備
小型防じん試験設備

3.当社防じん試験設備の特徴

(1) 防じん試験室としては非常に大型

 国内でこの規模での防じん試験を受託試験業務として実施している公的機関、民間企業はほとんどなく(当部調査による)、大型機器・装置の防じん試験室としては、まさにオンリーワン的な存在といえます。

 実際のところ、ご依頼いただいたお客様から、国内の公的機関や民間企業を色々調査したが、実施可能な設備は当社の設備のみであったとのコメントをいただいています。今まで防じん試験を行いたくても、供試品の大きさで断られたご経験がある場合、一度当社にご相談下さい!

(2) お客様のご要望に応じた規格や試験内容に対応可能

 当社では、JIS規格だけではなく、海外規格や社内規格など、お客様のご要望に応じた防じん試験を行うことができます。

 防じん試験は、規格によって使用粉体が異なるため、多様な規格に対応するためには、規格に応じた試験粉体への変更や、粉体供給量などを調整する必要があります。他の公的機関や民間企業では、防じん試験設備を有していても、粉体種類を変更できない場合が多く、限られたJISのみにしか対応していない場合が多いといえます。
当社設備は、粉体供給部を独立させると共に、設備フローを単純化し、メンテナンスしやすい配管レイアウトにすることによって、粉体の変更が可能な仕様としています。

 その結果、国内で入手可能な粉体を使用する試験であれば、海外規格や社内規格等であっても対応することができます。

 

4.実施例

試験前
8時間試験後

タルクによる防じん試験前後の試験体外観