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技術レポート

水質分析における腐食性調査(JRA-GL 02)

概要

 水道や工業用水道にとって、その水が腐食性の水なのか、あるいはスケール(水垢)形成傾向の水なのかは、非常に大きな問題です。配管や機器類が腐食したり閉塞すると大きな損害を被ります。当社では表1の冷凍空調機器用水質ガイドライン(JRA-GL 02:1994)に従って分析項目を選定するとともに評価を行います。

  • 表1 冷却水・冷水・温水・補給水の水質基準(5)
    冷凍空調機器用水質ガイドラインより

冷却水・冷水・温水・補給水の水質基準

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冷凍空調機器用水質ガイドラインより

  1. 項目の名称とその用語の定義及び単位はJIS K 0101による。
  2. 欄内の○印は腐蝕又はスケール生成傾向に関する因子であることを示す。
  3. 温度が高い場合(40℃以上)には一般的に腐食性が著しく、特に鉄鋼材料が何の保護被膜もなしに水と直接触れるようになって いる時は防食薬剤の添加、脱気処理など有効な防食対策を施すことが望ましい。
  4. 密閉冷却塔を使用する冷却水系において、閉回路循環水及びその補給水は温水系の、散布水及びその補給水は循環式冷却水系の、それぞれの水質基準による。
  5. 供給・補給される源水は、水道水(上水)、工業用水及び地下水とし、純水、中水、軟水処理水などは除く。
  6. 上記15項目は腐食及びスケール障害の代表的な因子を示したものである。

 水の腐食性とスケール生成の傾向に特に大きく影響を与えるのは、炭酸カルシウムと遊離炭酸(水に溶けている炭酸ガス)です。反応式は下記のようになります。

反応式1

反応式1

  • 反応が右に進む場合は、水中に炭酸カルシウムを溶かす浸食性遊離炭酸が存在し、水は浸食性(腐食性)をもっています。
  • 反応が左に進む場合は、浸食性遊離炭酸はなく、炭酸カルシウムを溶存させておくのに必要な従属性遊離炭酸が不足しており炭酸カルシウムが析出します。

 炭酸カルシウムが析出するとスケールとなって管などが閉塞するが、鉄などの管壁を腐食することはありません。これは炭酸カルシウムの皮膜が水と管壁の接触を絶ち、防食の役目を果たすからです。逆の場合は水と管壁が接触し金属壁面が腐食します。

 式が平衡状態になれば、水は腐食もスケールも形成しないような水になります。この時のpHを炭酸カルシウム飽和pH(pHs:saturation pH)といいます。

 すなわち、炭酸水素カルシウムの溶存に必要なだけの従属性遊離炭酸である場合、あるいは炭酸カルシウムが飽和している時のpHで、もちろんこの時は、浸食性遊離炭酸は含んでいません。

 分析値から計算で求めたpHsと実際のpHから、水の腐食性とスケール生成の傾向を示す尺度である安定度指数(RSI:Ryzner Stability Index)が提唱されています。安定度指数は式より求めます。

反応式2

反応式2

 なお、安定度指数は循環式冷却水系のように濃縮に伴う系のみに採用されます。