概要
RoHS指令とはEU(欧州連合)による、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令です。RoHS指令によりEU圏内で市場に出される電気・電子機器には対象となる有害物質の使用が規制されています。2006年7月1日に施行され、当初は6物質(カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE))でしたが、2019年7月22日よりフタル酸エステル4物質が追加となり10物質が規制物質となっています。
また、国内でもグリーン調達基準として同様の基準が設けられ、納入品には非含有の証明が必要となっているメーカーも多数あります。
当社はこれらの規制物質の分析を受託しており、これまでに材料分析で培った技術、経験をもとに、信頼性の高いデータを提供いたします。
規制物質と濃度
規制物質の種類と最大許容濃度を示します。
規制物質 | 最大許容濃度※1 (mass ppm) |
---|---|
カドミウム(Cd) | 100 |
鉛(Pb) | 1000 |
水銀(Hg) | 1000 |
六価クロム〔Cr(Ⅵ)〕 | 1000 |
ポリ臭化ビフェニル(PBB) | 1000 |
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) | 1000 |
フタル酸ジイソブチル(DIBP) | 1000 |
フタル酸ジブチル(DBP) | 1000 |
フタル酸ブチルベンジル(BBP) | 1000 |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) | 1000 |
※1 指令(EU)2015/863 ANNEX
分析方法
各規制物質により分析方法が異なり、スクリーニング分析および精密分析法を表に示します。
一般にはスクリーニング分析を行い、含有が疑われる場合に精密分析を行います。但し、納入先の分析方法の指定等により初めから精密分析を行う場合もあります。
規制物質 | 分析方法※2 | |
---|---|---|
スクリーニング分析 | 精密分析 | |
カドミウム(Cd) | 蛍光X線分析(XRF) (対象元素:Cd,Pb,Hg,Cr※3,Br※4) |
ICP発光分光分析法 |
鉛(Pb) | ICP発光分光分析法 | |
水銀(Hg) | 原子吸光法 | |
六価クロム〔Cr(Ⅵ)〕 | 吸光光度法 | |
ポリ臭化ビフェニル(PBB) | ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS) | |
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) | ||
フタル酸ジイソブチル(DIBP) | 熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法(Py-GC/MS) | ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS) |
フタル酸ジブチル(DBP) | ||
フタル酸ブチルベンジル(BBP) | ||
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP) |
※2 IEC62321準拠
※3 Cr:六価クロム〔Cr(Ⅵ)〕のスクリーニング分析は、総Crを確認
※4 Br:ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)は臭素(Br)
を含むので、スクリーニング分析は、総Brを確認