1.はじめに
パナマ運河は、太平洋と大西洋を結ぶ全長約62kmの水門(ロック)階段式人工運河です。運河は太平洋側に2つの水門があり、間に人工湖を挟んで大西洋側に1つの水門があります。それぞれの水門を通過するとき、船舶の大きさに合わせて4台~8台の電気機関車が船舶に繋いだケーブルを引っ張り、船舶を水門内の定位置に保つよう補助します(以下、写真1~4参照)。
ここでは、当社製の衝突防止装置を搭載するため、2008年にパナマ運河にて機能試験を実施した事例をご紹介します。
2.衝突防止装置とは
衝突防止装置は、電気機関車同士の衝突防止のために搭載されています。本装置で電気機関車間の距離を測り、その距離と機関車の速度に応じて警報を鳴らし、ブレーキを掛けます。機関車間の距離の測定は、レーザ距離計(電気機関車両頭部に各1台設置、図1参照)を用いて行い、その距離情報をコントローラに取り込み、電気機関車の速度情報と合わせて判断を行い、必要に応じて警報出力(警報音、ブレーキ指令)を行います。
3.機能試験結果
2008年に実施した機能試験で新型の衝突防止装置が正常に動作することを確認しました。
- 相対する機関車までの距離が正確に測定できること。
- 測定した距離と速度により判断を行い、それに応じた警報(警報音、ブレーキ指令)を出力すること。
- 距離と速度により危険と判断したとき、警報音と同時にブレーキ指令を出力し、機関車が安全に停止すること(停止距離の確認)。