当社では、「陸、海、空」の多方面にわたるビジネス展開を図っている川﨑重工業(株)の事業分野を背景に、基本設計、詳細設計及び運用の各段階に応じて多種多様な熱流動解析を手がけています。
各段階で実施される熱流動解析の目的を表1に示します。
基本設計段階 | ・現象の把握、設計方針の検討、設計案の妥当性確認 ・設計案の絞込み(パラメータ解析による実験回数の低減) |
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詳細設計段階 | ・設計最適化 |
運用段階 | ・トラブルの再現及び対策案の妥当性検討 |
熱流動解析関連の受託解析は、産業用機器を中心として増加の傾向にありますが、今回は典型的な解析事例について紹介します。
1.パソコン内部熱流動解析
エンジン収納ケーシング、GT空気取入れダクト、各種空調解析等、内部流れの典型例としてパソコン内部熱流動解析を取り上げます。図1及び図2に速度及び温度をカラー表示した場合の流線を示しますが、発熱体(CPU、HD、電源、メモリ)廻りの流速及び温度を見ることにより、各部に冷却空気が適切に供給されているかどうかを判断することができます。また、各部の圧力損失も計算可能で、背面に設置されているファン性能が十分かどうかを検討することができます。
最近では、計算機の能力向上とともに装置内部の複雑な形状も模擬できるようになり、解析メッシュ数にして数千万~1億程度の詳細解析も実施されています。また、対象とする流体も通常の気体及び液体の他に、汚泥等の非ニュートン流体への適用も広がりつつあります。
2.攪拌槽内流動解析
内部流れの典型例としては、その他に、サイクロンセパレーターや各種攪拌器のように回転するインペラ周りの流れがあり、攪拌槽流動解析結果の例を図3及び図4に示します。図3には攪拌槽内の流線を示します。また、攪拌槽に粒子群を投入した場合の粒子軌跡を図4に示します。流径の大きな粒子は直に落下するが流径の小さな粒子は流れによって運ばれ長時間浮遊している様子が観察されます。
これらの解析結果から、最適なインペラ形状及び装置パラメータの最適化に関する情報、更には回転トルク等の情報を得ることができます。